先日参加した勉強会で、「伊敷さんはどうやってパソコンを使っているんですか?」という質問を複数の方からいただきました。ウェブアクセシビリティの仕事をしていると、視覚障害者が音声読み上げソフトや画面拡大ソフトを使ってパソコンやウェブを利用していることは、ある程度の人が知っているようにだんだん慣れてきていたので、かえって新鮮な質問でした。
そこで今日は、改めて、私がどのようにパソコンやウェブを利用しているのかお話します。
まずは私の見え方について
私は生まれつき弱視の視覚障害を持っています。現在の視力は左右ともに0.01程度です。
普段外を歩くときは、右の写真のように白杖(はくじょう)を使います。最近は晴れている日が多いので、まぶしくて大変です。
私の見え方をひと言で言うと、「全体的に白っぽくぼやけてよく見えない」というのが一番近いと思います。そしてまぶしいとさらに見えなくなります。
本を読む
本を読むときには、右のような「拡大読書器」という機械を使います。
下の台座部分に読みたい本や資料をおくと、上のテレビに拡大されて文字が表示されます。テレビは家庭用の14インチのテレビです。(ブラウン管テレビに映ったものを撮影しているので、上部の文字が暗くなっています。)
拡大読書器を使うと、たいていのものは読むことができます。ただし、人によっては動く文字に酔ってしまう場合もあるようです。
音声読み上げと拡大ソフトの併用でウェブを使う
パソコンやウェブを使うときには、下のように画面拡大ソフトと音声読み上げソフトを併用します。
私の場合、ZoomTextという画面拡大ソフトを使っています。10倍に画面を拡大して、さらに色を反転しています。黒い背景色に白い文字のほうが私は読みやすいです。ただし、反対に白い背景色に黒い文字のほうが読みやすい人ももちろんいます。
初めて訪れるウェブサイトでは、まずページのレイアウトがどうなっているのか、全体をぐるっと見てから、自分が欲しい情報を探しています。
今後は、さまざまな障害を持つ人々のウェブ利用の様子を写真や動画でご紹介していきます。ウェブアクセシビリティを考えるきっかけになればうれしいです。