KIMINOTE(きみのて)制作プロジェクト

ロービジョンの子供のノートについて

ロービジョンとは

メガネやコンタクトレンズで矯正しても十分な視力を得られず、日常生活や学校・職場などで不便を感じる状態を「ロービジョン」と呼んでいます。「視覚障害」というと、全く目が見えない全盲を想像する方が多いですが、実は日本の視覚障害者の6割以上は、少し視力があるロービジョンといわれています。

ロービジョンの人の見え方

ロービジョンの人の見え方には個人差がとても大きく、また一人のロービジョン者でも、天気や時間、室内の照明などによって見え方が変化します。代表的な見え方としては、以下の4つがあります。

  • 像がぼやける
  • まぶしい・暗い
  • 視野が狭い
  • 視野の一部が欠けている(中心が見えない など)

ロービジョンの子どもたちは、こんな道具を使ってノートをとっています。

ルーペ:視力や見え方に応じて、倍率やLEDライトの有無、グリップの種類を選んでつかっています。

拡大読書器:ルーペではよく見えないときや、細かい作業を行いたいときなどには拡大読書器を使っています。書見台の上に本や書類を置くと、その上にあるモニター(写真は14インチの家庭用テレビです)に文字が拡大表示されます。写真のように色を反転したり、まっすぐ1行読めるように余分なところを隠す機能などもあります。僕自身、現在この拡大読書器を使っています。

書見台つきの机:ロービジョンの場合、目を近づけて本やノートを見ます。すると姿勢が悪くなるので、このような天板が傾く机を使います。僕も小学生のころはこの机を使っていました。

ロービジョンの子供たちは、視力や見え方に応じてこのようにさまざまな工夫をしていますが、それでも、学校や自宅でノートを使うときには、次のような不便があります。

不便1 : ノートの罫線が見えない

  • 1行まっすぐ書けずに曲がってしまう。
  • 罫線からはみ出す。
  • ノートをとることが目的になってしまい、見返すところまでいかない
  • ノートがうまく取れないことで、勉強そのものへの意欲が下がってしまう。

不便2 : ロービジョン者向けノートの選択肢が少ない

ロービジョン者向けに罫線の太いノートはありますが、シンプルな大学ノートのようなデザインのものしかなく、選択肢が限られています。

このような状況を踏まえて、罫線が見やすくてデザインもかわいい・かっこいい、学校へ持っていきたくなるようなノート「KIMINOTE(きみのて)」を作りたいと考えました。

「KIMINOTE(きみのて)」制作プロジェクト

KIMINOTE制作プロジェクトは、以下のように進めていきます。

(1) 罫線が太く行間も十分広いノートの本文をデザイン

「方眼紙ネット」などのサービスやillustratorなどのソフトを使って罫線が太いノートをデザインします。

(2) 表紙のイラストや写真を準備

プロのイラストレーターやカメラマンに依頼し、KIMINOTEの表紙となるかわいいイラストやきれいな写真を準備します。

(3) デザインした本文と表紙を用いて、オリジナルノートを作成

オリジナルノートを作成できる「書きま帳+」というサービスを使って、準備した本文と表紙をノートに仕上げます。ほかにも類似のサービスはありますが、作成可能なノートの仕様や価格の面から書きま帳+にしました。

■ KIMINOTE仕様

  • サイズ : B5
  • 製本 : 中綴じ製本
  • 本文 : オリジナルデザイン
  • 表紙 : オリジナルデザイン
  • 種類 : 2種類(男子向け、女子向け)
  • 部数 : 各1,000部

(4) 完成したKIMINOTEを、全国の盲学校や弱視学級へ寄贈

全国には視覚特別支援学校が 66校あります。また、ロービジョンの子供たちが通う特別支援学級は256学級あります。合計331の学校・学級にKIMINOTEをとどけます。

参考:特別支援教育資料(平成24年度)(文部科学省)

(5) 子供、保護者、先生の意見を聞いてブラッシュアップ

罫線の太さや色、レイアウト、表紙のイラストや写真、製本方法、紙の材質や書きやすさについて、子供たち、親御さん、先生から意見を聞いて改善を続けていきます。

費用概算

  • 表紙制作費:100,000円
  • ノート製作費:385,452 * 2 = 770,904円(書きま帳+での見積もり)
  • 発送・事務費:100,000円
  • 合計:970,904円

ご協力のお願い

ある日、小学校1年生のロービジョンの女の子のお母さんから、「ねえ、ロービジョン向けのノートでかわいいやつってないの?」と聞かれました。市販されているノートの罫線はよく見えなくて、ロービジョン者向けのノートを薦めてみたけれど、「かわいくない。学校に持っていきたくない」とのこと。

みんなと違うノートを持っていくだけでも、彼女にとってはイヤなことなんだろうな。同じロービジョンとして気持ちはよくわかる。そしてそれがかわいくないとしたら…

既存のロービジョン者向けノートのデザインがかわいいかどうかよりも、ロービジョンの子にとって見やすい、使いやすいノートがこの1種類しかなく、ほかに選択肢がないことのほうが本質的だと感じてKIMINOTEを作ろうと決めました。

選べることは、豊かなこと。

ロービジョンの子供たちに、ノートの選択肢を増やしたい。そして、自らの手で世界を広げ、選択肢を増やしていけるようになってほしい。

ノートを開く、世界を開く、KIMINOTEで。

趣旨にご賛同いただき、 KIMINOTE制作プロジェクトへのご協力をお願いいたします。

本プロジェクトの詳細や最新情報は、クラウドファンディングサービス「READYFOR?(レディーフォー)」のウェブサイトでご覧いただけます。

KIMINOTE制作プロジェクト

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