先週の木曜日、毎日メディアカフェで行われた展示・実技指導&セミナー 「ハンデキャッパーのための電子書籍自炊」に行ってきました。これはさまざまなスキャナやOCR機器を紹介するとともに、視覚障害者が紙の本や書類をいかにストレスなく読むかについて考えようというものです。
視覚障害者と自炊
「自炊」という言葉はこの7,8年くらいの間に定着してきましたが、視覚障害者の世界ではもっとずっと前から行われてきました。視覚障害者は紙の本や書類をそのままの形で読むことはできません。そこで、「じゃあパソコンに取り込んで、テキストを抽出することができれば、それを音声読み上げソフトで読めるんじゃない?」というアイデアが自然と出てきます。OCR技術が研究され始めた20世紀初頭のころから、認識した文字を読み上げることで視覚障害者にとても役立つだろうという考えはあったようです(「光学文字認識(Wikipedia)」。まさに「必要は発明の母」です。
OCR技術が一般的になる前は、活字の印刷物は家族や友人・知人、介助者など見える人に読んでもらうしかありませんでした。プライバシーもへったくれもありません。自炊することによって役所などからの郵便物や学校からのお知らせなど活字の書類を読むのに役立ちました。
また経済学を研究している全盲の友人は「自炊することによって書籍や論文、議会の議事録など研究に必要な資料にアクセスできるようになった。いろんな人の考えや研究に触れることができて助かっている」と言っています。
ScanSnapとe.Typist
イベントの話に戻ります。今回僕は午後に開催された展示・実技指導のみに参加しました。
メディアドライブ株式会社がセット販売しているScanSnap SV600(富士通製)とe.Typistを実際に使ってみるというものでした。会場となった毎日メディアカフェについたのは午後3時頃。すでにおひとりの方が待っていて、メディアドライブの担当者さんがマンツーマンで使い方を説明されていました。
15分ほど待って僕も実際にScanSnapを触ってみました。
ScanSnap SV600は、それまでのフラットなスキャナとは違って卓上スタンドのような形をしています。紙の本や書類に光を当てながら連続で写真撮影しその結果を統合してスキャニングするという仕組みだそうです。スキャンできる大きさはA3まで、厚さは3cmまで。スキャン開始は手元のボタンでもできますが、厚みのある本などを両手で押さえてスキャンするときのために足踏みスイッチも用意されていました。
スキャンされたものはPDF、TIFF、JPEGなどの形式で保存でき、そこからe.Typistでテキスト抽出を行います。設定を変更することで自動ページめくりにも対応しています。試してみたところページめくりそのものは手動で行うのですが、ページがめくられたことをスキャナが認識してスキャンが自動スタートしました。
スクリーンリーダーとのさらなる連携や操作性の向上などは現在検討中とのことで、今後に期待しています。